eSIMとSIMカードの違いは?特徴やメリット・デメリットをわかりやすく解説
eSIMという言葉を聞いたことはあるけれど、SIMカードとの違いがわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
eSIMには、従来のSIMカードとは異なるさまざまな特徴やメリットがあります。
また、今後はeSIMが普及してスマートフォンの利用方法にも変化が生まれる可能性があります。
そこで本記事は、eSIMとSIMカードの違いについてそれぞれの特徴やメリット・デメリットをわかりやすく解説します。
eSIMとは?SIMカードとの違いや特徴について
eSIMはSIMの種類の一つですが、nanoSIMやmicroSIMといったSIMカードの形状の違いではありません。
そもそもeSIMはカードが存在せず、スマートフォン本体に内蔵されているのが特徴です。
そのため、従来のSIMカードのように抜き差しは必要ありません。
利用したい回線(プロバイダー)を選びインターネット経由で契約すれば、わざわざ店舗へ足を運ばなくても通信が可能となります。
USIMカードとSIMカードの違いは?
SIMカードはその形状によってmicroSIM、nanoSIM、標準SIMの3種類に分かれています。
そして今回解説している端末埋め込み型のeSIMがありますが、これ以外に「USIMカード」という言葉を耳にしたことがある方もいるのではないでしょうか。
USIMカードの「U」は、「Universal(ユニバーサル)」を示しています。
特徴は、通常のSIMカードに比べて保存できる情報の種類が多い点です。
SIMカードには、電話番号など契約に関する情報が保存されています。
一方のUSIMカードには、電話番号以外に電話帳やSMSメッセージなどさまざまな情報が保存可能です。
こうした特徴からUSIMは非常に便利な反面、紛失による情報漏洩などには注意しなければなりません。
eSIMとSIMの違いを4つのポイントで確認
eSIMとSIMの違いについて、4つのポイントで確認していきましょう。
利用料金
回線を使用するための月額料金について、eSIMとSIMによる差はありません。
ただし、SIMの発行手数料はプロバイダーによってeSIMの方が若干安くなっているケースもあります。
開通までにかかる時間
SIMカードを利用する場合、店舗へ足を運ぶかインターネットで契約して自宅に届くまで待たなければなりません。
しかし、eSIMはその場で契約・開通の手続きを行えるため、SIMカードよりも開通までにかかる時間は少ないと言えるでしょう。
ただし、プロバイダーによっては夜間などeSIMを発行できない時間帯があるので注意が必要です。
機種変更の方法
SIMカードを使っている場合の機種変更は、スマートフォンに挿してあるSIMカードを差し替えるだけです。
一方のeSIMは、新たに利用するeSIMの発行手続きをしたうえで、スマートフォンへのダウンロードを行います。
店舗へ足を運んだりSIMカードが届くのを待ったりする手間はありませんが、手続きの方法を理解していないとeSIMのほうが面倒と感じる方もいるかもしれませんね。
利用できる回線
eSIMは、SIMカードと同じように以下の回線が利用可能です。
- NTTドコモ
- au
- ソフトバンク
- 楽天
大手キャリア以外の格安SIMプロバイダーでもeSIMは提供されていますが、どの回線を利用できるかはプロバイダーによって異なります。
あらかじめ利用したい回線が決まっている場合は、その回線を提供しているeSIMのプロバイダーを選ぶようにしましょう。
eSIMを利用する5つのメリット
eSIMとSIMカードはどっちがいいのか、迷っている方もいるのではないでしょうか。
そこで、eSIMを利用するメリットを5つ紹介します。
以下を参考にしてeSIMを利用するべきかどうか検討してみましょう。
eSIMのメリット1.開通までがスピーディー
eSIMはSIMカード購入のために店舗へ行ったり自宅に届くまで待ったりする必要がないため、契約から開通までがスピーディーです。
インターネット環境さえあればどこにいても契約して利用できるのが、eSIMのもっとも大きなメリットと言えるでしょう。
ただし、eSIMを利用するには対応したスマートフォンが必要です。
eSIM非対応の端末では利用できないので注意しましょう。
eSIMのメリット2.eSIMならデュアルSIMが利用可能
eSIMが利用できるスマートフォンは、デュアルSIMが利用できます。
デュアルSIMとは、eSIMと物理SIMを併用できる仕組みのことです。
たとえば、iPhoneなどにeSIMをインストール(アクティベート)してさらにSIMカードを挿すことで、2回線を1台の端末で利用できるようになります。
仕事とプライベートで別々の回線を使いたいけれど、スマートフォンを2台持つのが面倒な方、端末の購入費用を抑えたい方にはeSIMを使ったデュアルSIMがおすすめです。
eSIMのメリット3.SIMカードのように物理的なトラブルがない
eSIMはSIMカードのようにカード自体が存在しないため、紛失や破損といったトラブルが発生しません。
SIMカードは、差し替える際に静電気で壊れてしまうといったケースが少なくありません。
しかし。eSIMはカードに触れることがないのでこうしたトラブルは起きません。
機種変更を頻繁に行う方は、eSIMの方が安心して利用できるでしょう。
eSIMのメリット4.使わなくなったSIMカードの処分が不要
SIMカードを使っている場合、解約後はカードの処分が必要です。
個人情報が記録されているSIMカードの処分方法に、悩まれた経験のある方もいるのではないでしょうか。
eSIMなら、解約や機種変更によってSIMカードが手元に残ることがないため、処分方法を考える必要はありません。
不要になったSIMカードの処分に不安や手間を感じている方は、eSIMの利用を検討してみるとよいでしょう。
eSIMのメリット5.海外でもスムーズに利用できる
海外でスマートフォンを利用する際は、現地で利用できるSIMカードを購入して差し替えなければなりません。
ですがeSIMの場合、現地で利用できるeSIMをインターネットで契約すれば、持っているスマートフォンをそのまま海外でも利用できます。
SIMカードの購入や差し替えなどの手間が省けるため、海外でもスムーズに利用できるのがeSIMのメリットです。
eSIMを利用する5つのデメリット
eSIMは非常に便利な一方、いくつかデメリットもあります。
eSIMへの切り替えを検討している方は、以下のデメリットについても参考にしたうえで、切り替えを考えてみてください。
デメリット1.機種変更にはeSIMの再発行が必須
eSIMを利用するデメリットの一つ目は、機種変更の際にeSIMの再発行が必要な点です。
SIMカードの場合は、新しいスマートフォンへSIMカードを差し替えるだけですが、eSIMは物理SIMではないため差し替えができません。
よって、新しいスマートフォン用のeSIMを発行のうえインストール(アクティベート)が必要です。
また、eSIMの再発行には以下のような手数料がかかることも覚えておきましょう。
キャリア | eSIM発行手数料 |
---|---|
NTTドコモ | 2,200円(税込)※オンラインショップは無料 |
au | 2,200円(税込)※オンラインショップは無料 |
ソフトバンク | 3,300円(税込)※オンラインショップは無料 |
ソフトバンクだけやや手数料が高くなっています。
ただし、オンラインショップならどのキャリアでも無料なので、eSIMの再発行はオンラインショップで行うのがおすすめです。
デメリット2.eSIM対応の端末がまだ少ない
eSIMを利用するには、eSIMに対応した端末が必要です。
しかし、現在のところeSIMに対応していない端末がまだまだ多く、eSIMを利用するには端末が限定されてしまうでしょう。
特に最新機種ではない場合、eSIM非対応のケースが多いため、新しく端末を購入しなければならない可能性があります。
そのため、eSIMを利用する際は現在使っている端末がeSIM対応なのかを確認し、非対応の場合は端末購入代金がかかることも想定して検討しましょう。
デメリット3.eSIMの初期設定にはWi-Fiが必要
eSIMの開通手続きには、Wi-Fi環境が必要です。
自宅にスマートフォン以外のWi-Fiがあれば問題ありませんが、ない場合はWi-Fiが利用できる場所へ行って手続きをしなければなりません。
なお、eSIMの手続きに暗号化されていないフリーWi-Fiを利用するのはおすすめできません。
暗号化されていないフリーWi-Fiは、第三者に個人情報を悪用されてしまうリスクがあるため、暗号化された安全なWi-Fiを利用しましょう。
デメリット4.SIMカードに比べて取り扱いがやや難しい
SIMカードを使ったスマートフォンは、カードを差し替えるだけなので簡単に機種変更ができます。
しかし、eSIMはインターネット上での手続きが必要なため、知識のない方や不慣れな方はやや難しいと感じてしまうかもしれません。
はじめてeSIMを利用する際は、あらかじめ手続き方法などを調べたうえで、問題なく進められるか確認しておきましょう。
デメリット5.プロファイルを削除してしまうとeSIMの再発行が必要
一度設定したeSIMのプロファイルを誤って削除してしまった場合、eSIMの再発行が必要となります。
オンラインであれば無料で再発行できるケースが多いですが、プロバイダーによっては手数料が発生するため注意しましょう。
また、夜間のeSIM再発行を受け付けていないプロバイダーだった場合、再発行できるまでスマートフォンを利用できなくなってしまうリスクもあるので、プロファイルの削除には気をつけてください。
eSIMに対応しているキャリア(プロバイダー)一覧
現在、eSIMに対応しているキャリア(プロバイダー)は以下のようになっています。
プロバイダー名 | 利用できる回線 |
---|---|
NTTドコモ | NTTドコモ回線 |
au | au回線 |
ソフトバンク | ソフトバンク回線 |
UQ mobile | au回線 |
povo | au回線 |
LINEMO | ソフトバンク回線 |
LinksMate | NTTドコモ回線/au回線/ソフトバンク回線 |
ahamo | NTTドコモ回線 |
楽天モバイル | 楽天回線 |
日本通信SIM | NTTドコモ回線 |
Y!mobile | ソフトバンク回線 |
IIJmio | NTTドコモ回線/au回線 |
BIC SIM | NTTドコモ回線/au回線 |
3大キャリアをはじめ、多くの格安SIMプロバイダーもeSIMに対応しています。
利用できる回線はプロバイダーによって異なるため、eSIM選びの際は回線の種類もチェックしておきましょう。
ちなみに、楽天回線を利用できるeSIMは楽天モバイルのみなので、楽天回線を使いたい方は楽天モバイルでeSIMを契約してください。
eSIMに対応している機種をチェック
eSIMを利用するには、eSIM対応端末が必要です。
iPhoneとAndroid、それぞれのeSIM対応機種をチェックしてみましょう。
iPhone
iPhoneは、「iPhone XS、iPhone XS Max、iPhone XR」以降に発売された以下の機種で、eSIMが利用できます。
- iPhone 14 /Plus/Pro/Pro Max
- iPhone 13 /mini/Pro/Pro Max
- iPhone 12 /mini/Pro/Pro Max
- iPhone SE(第2世代/第3世代)
- iPhone 11 /Pro/Pro Max
- iPhone XS/XS Max
- iPhone XR
Android
eSIMに対応したAndroid端末の種類は多いので、一部を紹介します。
- HUAWEI P40/Pro 5G
- HUAWEI Mate 40 Pro
- Google Pixel 4/a/XL
- Google Pixel 5/a/Pro
- Google Pixel 6/a/Pro
- Galaxy S21 ultra 5G
- Galaxy Z Flip3 5G
- Galaxy Z Fold2 5G
- Galaxy Z Fold3 5G
- Galaxy S21 5G/+ 5G/Ultra 5G
- Galaxy S20 5G/+ 5G/Ultra 5G
- Galaxy Note20/Ultra 5G
- Redmi Note 10T
- OPPO A55s 5G
- OPPO Find X3 Pro
- OPPO Reno5 A
- OPPO A73
- AQUOS wish
- AQUOS zero6
- AQUOS sense6
- AQUOS sense4 lite
- Xperia 10 III Lite
上記のなかでも、日本国内向けの機種はeSIM非対応の場合がありますので、必ず公式サイトなどを確認したうえで購入を検討してください。
まとめ
eSIMには開通がスピーディー、デュアルSIMが利用できる、SIMカードの破損や紛失がない、海外でもスムーズに利用できるなどさまざまなメリットがあります。
ただし、古い機種だとeSIMに対応していない、開通手続きにはWi-Fiが必須であるといったデメリットもあるので注意してください。
eSIMに興味がある方は、本記事を参考に利用を検討いただけると幸いです。
eSIMとSIMカードの違いについてよくある質問
eSIMとSIMカードの違いについてよくある質問をピックアップして紹介します。
SIMカードからeSIMに切り替える方法は?
- SIMカードからeSIMに切り替える方法は?
-
iPhoneやAndroidでSIMカードからeSIMに切り替える場合は、プロバイダーのマイページなどからeSIMの設定をします。
ahamoや楽天モバイルなど主要なサービスには、それぞれ契約内容の確認や契約手続きが行えるマイページのようなものがあるので、そちらへログインしてeSIMへ切り替えます。
今回はahamoのeSIMへの切り替え方法を例に見てみましょう。
STEPahamoにログインahamoアプリを起動して、dアカウントでログインします。
STEP「その他の手続き」をタップahamoアプリでログインしたら、「その他の手続き」をタップしてください。
STEP「eSIM発行・再発行のお手続き」次に、「eSIM発行・再発行のお手続き」をタップしてください。
STEPeSIMの情報を入力するはじめてその端末でeSIMを利用する場合は「新しい機種(持ち込み)でeSIM発行」を選択して、32桁のEIDを入力してください。
eSIMを再発行する場合は「eSIM利用中の機種で再発行」を選択します。
STEP内容の確認・注文完了入力内容に間違いがないか確認します。
手続きが終わると、「注文完了」と表示されます。
STEPプロファイルのダウンロード手続きが完了するとahamoからメールが届くので、内容を確認してください。
そしてahamoアプリへログインすると、回線切り替えの表示があらわれるので、手順に従って進めてプロファイルをダウンロードします。
STEP本体の再起動プロファイルのダウンロードが終わったら、スマートフォン本体を再起動します。
その後、発信テスト用番号(111/通話料無料)へ電話をかけてみて、問題がなければeSIMへの切り替えが完了です。