MNP(携帯電話番号ポータビリティ)とは?乗り換えの手順や注意点を解説
MNP(携帯電話番号ポータビリティ)という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
MNPを利用すると電話番号そのままでキャリアの乗り換えが可能ですが、同じ名義での手続きが必要だったり、MNP予約番号に有効期限があったりと注意点もあります。
本記事では、MNPを利用した乗り換えの手順や注意点を解説します。
MNPワンストップについても解説するので、ぜひ最後までご覧ください!
MNP(携帯電話番号ポータビリティ) とは
MNP(携帯電話番号ポータビリティ)は「モバイルナンバーポータビリティ」の略称で、通信キャリアを乗り換える際に、電話番号をそのまま利用できる制度です。
電話番号が変わらないため、キャリアを乗り換えても新たに電話番号を周知する必要がないメリットがあり、日本では2006年10月24日に導入されました。
MNPの制度自体は2006年に始まったものの、当初は乗り換える際に3000円(税込)程度の転出手数料が必要だったり、受付時間が限られていたりと問題点もありました。
そこで、2021年4月からは予約番号発行手数料の引き下げや、オンライン受付の24時間対応などの改善が行われ、より利用しやすくなっています。
また、2023年5月24日からは、従来のツーストップ方式に加えてワンストップ方式によるMNPが開始され、対応キャリアではより簡単にMNP手続きが可能になりました。
MNP乗り換え手続きの流れと手順
MNPを利用した乗り換え手続きの流れは以下の通りです。
- MNP手続きの準備をする
- 乗り換え元でMNP予約番号を取得する
- 乗り換え先で申し込む
- 乗り換え先で開通手続きをする
特に難しい手順はないので、MNP乗り換えを考えている方はこの記事を参考に乗り換えを進めましょう。
手順1.MNP手続きの準備をする
まずは、MNP手続きに必要なものを準備します。
MNP乗り換えに必要なものは以下の3点です。
- 本人確認書類
- クレジットカードもしくは銀行口座
- MNP予約番号
本人確認書類やクレジットカード・銀行口座は通常の新規申し込みでも必要ですが、MNP予約番号はMNP乗り換えならではの準備物です。
なお、乗り換え元のキャリアメール(@docomo.ne.jpなど)は無料で利用できなくなるので、GmailやYahoo!メールなどのフリーメールアドレスも準備しておきましょう。
手順2.乗り換え元でMNP予約番号を取得する
続いて、乗り換え元の会社でMNP予約番号を取得しましょう。
MNP予約番号の申込み窓口はWeb・電話・店舗の3種類ありますが、キャリアによって利用できる窓口は異なります。
また、取得したMNP予約番号には15日間ほどの有効期限があり、乗り換え先のキャリアによっては「MNP予約番号の有効期限まで⚪️日以上残っていること」などの条件があります。
MNP予約番号取得後はできるだけ早く手続きを進めましょう。
MNP予約番号の取得方法
MNP予約番号はWeb・電話・店舗のいずれかで取得できますが、キャリアによって利用できる申込み窓口は異なります。
それぞれの申込み窓口の特徴と受付時間は以下の通りです。
申込み窓口 | 特徴 | 受付時間 |
---|---|---|
Web | ・マイページなどから手軽に手続き可能 | 24時間 |
電話 | ・電話で相談しながら手続きを進められる・受付時間が限られている | 午前9時〜午後8時 |
店舗 | ・対面で手続きを進められる・店舗のないキャリアも多い | 各店舗の営業時間内 |
Webでの手続きは24時間可能ですが、電話や店舗での手続きは受付時間が決まっているので注意しましょう。
ここでは、NTTドコモ・au・ソフトバンク・楽天モバイルの大手キャリアに加え、UQモバイル・ワイモバイルのMNP予約番号取得方法を紹介します。
各キャリアのMNP予約番号取得方法を見る▷▷
契約中のキャリア | Webでの手続き | 電話での手続き | 店舗での手続き |
---|---|---|---|
NTTドコモ | ドコモオンライン手続きから | 携帯電話から:151 一般電話から:0120-800-000 | あり |
au | My auで手続き | 共通:0077-75470 | あり |
ソフトバンク | My SoftBankで手続き | 携帯電話から:*5533 一般電話から:0800-100-5533 | あり |
楽天モバイル | my 楽天モバイルで手続き | なし | あり |
UQモバイル | My UQ mobileで手続き | 共通:0120-001-659 | なし |
ワイモバイル | My Y!mobileで手続き | 共通:0800-222-8449 | あり |
大手3キャリアやワイモバイルはすべての申込み窓口が利用可能ですが、楽天モバイルは電話での手続きに対応しておらず、UQモバイルは店舗での手続きができません。
Webでの手続き方法は各キャリアによって異なるので、詳細は公式サイトなどで確認しましょう。
手順3.乗り換え先で申し込む
MNP予約番号が取得できれば、続いて乗り換え先のキャリアへの新規申込みを行います。
新規申込みにあたって、あらかじめ次の4点を確認しておきましょう。
- 端末購入の有無
- どの料金プランにするか
- SIMの種類(SIMカードかeSIMか)
- 支払い方法は何があるか
それぞれを確認したうえで、Webもしくは店頭で新規申込み手続きを進めます。
実店舗の場合はその場で手続きが完了しますが、Webで申し込む場合はSIMカードの発送などに数日かかる場合があるので注意が必要です。
なお、乗り換え先との契約手続きが完了した時点で、乗り換え元との契約は自動的に解約となります。
手順4.乗り換え先で開通手続きをする
乗り換え先の申込みが完了したら、続いて開通手続きをしましょう。
実店舗で契約した場合は必要ないですが、Web申込みの場合の開通手続きはSIMカードや端末が届いてから自分で行う必要があります。
詳しい開通手続きの方法はキャリアによって異なるので、それぞれの公式サイトで確認しましょう。
MNPの注意点6つ
MNPの注意点は以下の6点です。
- MNP予約番号には有効期限がある
- キャリアのメールアドレスは無料で引き継げない
- 異なる名義でのMNPは原則できない
- 乗り換え元の解約手続きは不要
- 乗り換え元の解約違約金がかかることがある
- 端末のデータ移行が必要
注意点1.MNP予約番号には有効期限がある
乗り換え元で取得したMNP予約番号には、15日間ほどの有効期限があります。
有効期限が過ぎた予約番号では手続きできないので、うっかり過ぎてしまった場合は再度発行し直す必要があります。
また、乗り換え先のキャリアによっては、契約時に「MNP予約番号の有効期限まで⚪️日以残っていること」などの条件を定めているケースもあるので、MNP予約番号取得後は速やかに乗り換え手続きを進めましょう。
注意点2.キャリアのメールアドレスは無料で引き継げない
MNP乗り換えでは電話番号を引き継げますが、「@docomo.ne.jp」などキャリアのメールアドレスは無料で引き継げません。
ただし、以下のように有料でメール持ち運びサービスを実施しているキャリアもあり、キャリアメールの継続利用も可能です。
キャリア | 利用料金 |
---|---|
NTTドコモ・au・楽天モバイル | 月額330円(税込) |
ソフトバンク・ワイモバイル | 月額330円(税込) 年額3,300円(税込) |
UQモバイル | 未対応 |
月額330円(税込)程度で実施しているキャリアが多いですが、UQモバイルはキャリアメールの引き継ぎができません。
なお、GmailやYahoo!メールなどのフリーメールアドレスを用意しておけば、特別な理由がない限り有料でキャリアメールを引き継ぐ必要はありません。
無料で使えるフリーメールアドレスは何かと便利なので、作成しておくのがおすすめです。
注意点3.原則異なる名義でのMNPはできない
MNP手続きを行うためには、原則として「MNP予約番号の取得者」と「乗り換え先の契約者」の名義が同じである必要があります。
ただし、ソフトバンクのように家族間に限り名義変更できるケースや、IIJmioのように家族に限らず名義変更できるケースもあります。
ご家族さまのご名義であれば、MNPでご自分のご名義でソフトバンクへのりかえできます。
引用元:ソフトバンク公式サイト
ご契約者様と異なる名義でMNP転入される場合、「MNP予約番号」と、「ご契約者様の本人確認書類」「MNP転入される方の本人確認書類」をご用意いただき、こちらからお申し込みを行ってください。
引用元:IIJmio公式サイト
一方で、楽天モバイルはMNPと名義変更を同時にできません。
乗り換え(MNP転入)は同じ名義でのみ受け付けております。
引用元:楽天モバイル公式サイト
MNPと同時に名義変更できない場合は、乗り換え前に名義変更を済ませるか、乗り換え後に名義を変更する必要があります。
キャリアによって対応は異なるので、乗り換え前に確認するようにしましょう。
注意点4.乗り換え元の解約手続きは不要
MNP乗り換えでは、乗り換え元の解約手続きは不要です。
乗り換え先の契約完了とともに、乗り換え元の解約が自動で行われる仕組みになっているからです。
むしろ、先に乗り換え元を解約してしまうとMNPが利用できず、電話番号が変わってしまう恐れもあるので注意しましょう。
注意点5.乗り換え元の解約違約金がかかることがある
乗り換え元の契約内容や契約した時期によっては、乗り換えに伴う解約違約金が発生することがあります。
ただし、現在ではどのキャリアでも基本的には解約違約金(契約解除料)がかからなくなっており、多くの方は解約違約金が発生する心配はありません。
なお、古いプランでは解約違約金が発生する可能性がありますが、更新月に解約すれば解約違約金がかからなかったり、新しいプランに変更しておけば解約違約金を抑えられたりもします。
長年にわたって同じプランを利用している場合は、更新月での解約かプランの変更を検討しましょう。
注意点6.端末のデータ移行が必要
端末購入の有無に関わらず、キャリアを乗り換える際は、万が一に備えて端末内のデータのバックアップを取っておきましょう。
端末そのままで乗り換える場合も、SIMを切り替えた際にデータが消失してしまう可能性があります。
iPhoneの場合はiCloud、Androidの場合はGoogleドライブを使ってバックアップを作成できます。
なお、アプリ内のデータは、基本的にメールアドレスとパスワードを設定するか、Googleなど外部サービスと連携してバックアップを作成できるケースが多いです。
MNPワンストップとは
MNPワンストップは、2023年5月24日から利用可能になったMNPの方式で、通常のMNP乗り換えと異なり、乗り換え元でMNP予約番号を取得する必要がありません。
つまり、MNP予約番号の発行が不要になったことで、MNP手続きがより簡単にできるようになりました。
なお、現状ではWebでの手続きに限られていたり、対応キャリアが限られていたりと注意点もあります。
とはいえ、通常のMNPよりも手間がかからないので、利用できる場合は積極的に利用しましょう。
MNPワンストップの手順
MNPワンストップの手順は以下の通りで、乗り換え先の手続きのみで完結します。
- 乗り換え先で申し込む
- 乗り換え先で開通手続きを行う
なお、MNPワンストップの手続きを進めると、乗り換え元のWebサイトに自動で遷移し、解約にあたっての重要事項説明が行われます。
その際にマイページへのログインが必要になるので、乗り換え元のマイページのログイン情報を用意しておきましょう。
乗り換え先の開通手続きは、通常のMNPの場合と変わりません。
MNPワンストップの対応キャリア
2023年7月3日時点でMNPワンストップに対応しているキャリアは以下の通りです。
MNPワンストップ対応キャリア▷▷
- au
- ソフトバンク
- NTTドコモ
- 楽天モバイル
- UQモバイル
- povo
- ワイモバイル
- LINEMO
- LINEモバイル
- ahamo
- 日本通信SIM
- b-mobile
- mineo
- ジャパネットたかた通信サービス
乗り換え元、乗り換え先とも上記のキャリアであればMNPワンストップが利用可能なので、当てはまる場合は積極的に利用しましょう。
まとめ
本記事では、MNP(携帯電話番号ポータビリティ)の手順や注意点について解説しました。
MNPを利用すると、電話番号が変わることなくキャリアを乗り換えられます。
さらに、MNPワンストップを利用すれば乗り換え先の手続きだけで完結するので、より簡単に乗り換えを進められるでしょう。
ただし、MNP予約番号には有効期限があったり、MNPワンストップはWeb手続きのみであったりと、注意点もあります。
手軽に乗り換えが進められるMNPやMNPワンストップを利用し、最適なキャリアに乗り換えましょう。
MNPについてよくある質問
MNPについてのよくある質問をピックアップして紹介します。
MNPのおすすめタイミングはいつ?
- MNPのおすすめタイミングはいつ?
-
他キャリアへのMNP乗り換えは月末がおすすめです。
基本的に、キャリア解約月の月額料金は日割り計算されず、1ヶ月分の料金が発生します。
そのため、月末近くに解約する方が月額料金が無駄になりません。
ただし、月をまたいでしまうと翌月の月額料金も発生するので、余裕を持ってMNP乗り換え手続きを進めましょう。
MNPを利用できる条件は?
- MNPを利用できる条件は?
-
MNPを利用できる条件は以下の2点です。
- 発行したMNP予約番号の有効期限内である
- 乗り換え先のキャリアによっては、MNP予約番号の取得者と乗り換え先の契約者が同一名義の必要がある
MNP予約番号には15日間ほどの有効期限があり、乗り換え先のキャリアによっては「有効期限が10日以上残っていること」などの条件を定めている場合もあります。
そのため、MNP予約番号発行後はすぐに新規申し込みの手続きを進めましょう。
なお、MNP予約番号の有効期限が過ぎてしまった場合は、もう一度取得できます。
また、キャリアによってはMNP予約番号の取得者と乗り換え先の契約者が同一名義である必要があります。
その場合はMNPと同時に名義変更できないので、MNP予約番号取得前に乗り換え元で名義変更を行うか、新規申込み後に名義変更を行いましょう。
MNPに手数料はかかる?
- MNPに手数料はかかる?
-
MNP転出手数料は原則無料です。
Webからの申込みの場合は完全に無料で、店舗や電話での申込みの場合のみ1,100円(税込)を上限に手数料がかかる可能性があります。
ただし、店舗や電話での申込みも無料になっているキャリアも多く、この記事で紹介した6キャリアは申込み方法に関わらず手数料はかかりません。
MNPにキャンペーンはある?
- MNPにキャンペーンはある?
-
各キャリアが端末代金の割引やポイント還元など、各種乗り換えキャンペーンを実施しています。
キャンペーンの内容は時期によって変わるため、詳細は乗り換え先キャリアの公式サイトで確認しましょう。
MNPワンストップはいつから使える?
- MNPワンストップはいつから使える?
-
MNPワンストップは、2023年5月24日から利用可能となっています。
ただし、現時点ではWeb申込みのみの対応となっており、また乗り換え先と乗り換え元の両方がMNPワンストップに対応している必要があります。