バンドステアリングとはなにか?特徴・機能・必要性からメリットとデメリットを徹底解説
近年のインターネット事情は、お手軽で身近なWi-Fiが一般家庭に広く浸透しています。
家のなかをチェックしてみたら、Wi-Fi対応家電があふれていたという方も多いのではないでしょうか?
Wi-Fiは同時接続数が増えるほど遅延が起きやすく、自宅で利用する人が多いほど回線が混雑しやすいというデメリットがあります。
「自宅のWi-Fiをスムーズに使いたい!」という方にこそ、本記事で紹介する「バンドステアリング機能」を活用してみてはいかがでしょうか?
本記事を最後まで読み進めれば、バンドステアリング機能とはなにか?メリットとデメリットや必要性について深く理解できます。
自宅のWi-Fiをこれまで以上に快適に使いたい方は、ぜひ最後までお読みください。
バンドステアリングとは?
Wi-Fiの機能性を高める際、「バンドステアリング」という単語を耳にしたことはないでしょうか?
ここでは、バンドステアリングとはなにかを次の流れで解説します。
- バンドステアリングとは周波数を自動で振り分ける機能のこと
- バンドステアリング機能の3つのメリット
- バンドステアリング機能のデメリット
それでは順に、バンドステアリング機能の解説をチェックしていきましょう。
バンドステアリングとは周波数を自動で振り分ける機能のこと
バンドステアリングとは、2.4GHzと5GHzの周波数帯を自動で振り分ける機能のことです。
2.4GHzは広範囲に届きやすいけど電波干渉を受けやすく、5GHzは電波干渉を受けにくいけど届く範囲が狭いといった電波特性があります。
インターネットや家電製品で用いられるWi-Fiは、この2種類の周波数帯で通信を行うのが一般的です。
バンドステアリング機能を使えば、適切な周波数帯に自動で優先的に切り替えてくれます。
たとえばルーターから離れた場所でスマートフォンを使用している場合、バンドステアリング機能があれば2.4GHzで接続し、直近であれば5GHzでの接続を優先するということが可能です。
ちなみに、バンドステアリングは英語表記で「band steering」とされています。
band=バンドとは回線の周波数帯を指し、steering=ステアリングは「操舵」という乗り物の方向を決める舵取りを意味する言葉です。
バンドステアリング機能の3つのメリット|周波数を自動で振り分ける利点
バンドステアリング機能には、以下の3つのメリットがあります。
- 2.4GHzと5GHzの周波数帯を適切に自動で切り替える
- 利用者の少ない周波数帯を優先的に選んでくれる
- 2つの周波数帯のSSIDと暗号キーを共通して一括管理できる
各メリットの解説を見ていきましょう。
1.2.4GHzと5GHzの周波数帯を適切に自動で切り替える
バンドステアリング機能は、2.4GHzと5GHzの周波数帯を状況に応じて自動で切り替える機能です。
通常の周波数帯の切り替えは手動で行いますが、バンドステアリング機能なら状況に応じた電波の切り替えを自動で行ってくれます。
たとえば、ルーターから少し離れた場所で接続するときは2.4GHzに繋ぎ、ルーターから近い場所では5GHzを優先的に接続するということがバンドステアリング機能では可能です。
最初に対応ルーターのバンドステアリング機能を行ってしまえば、以降は周波数帯の切り替え操作や管理といった面倒な手間が省けます。
使用する周波数帯を自分で選んで固定することもできるので、バンドステアリング機能におまかせするか、自分で使用する周波数帯をコントロールするか設定は自由です。
バンドステアリングは機能を搭載したルーターと、2.4GHzと5GHzで接続できる機器端末やスマートフォンに対応しています。
IEEE802.11ac対応の現行機種、家電製品やスマートフォン(iPhone、AndroidのOS問わず)であれば問題ありません。
2.利用者の少ない周波数帯を優先的に選んでくれる
バンドステアリング機能では、周波数帯ごとの混雑具合を判断し、接続先を利用者が少ない電波に自動で切り替えてくれます。
周波数帯は同時接続数が増えるとネットワークの混雑で速度低下が起こりやすく、Wi-Fiが繫がりにくくなりがちです。
バンドステアリングが機能していれば、2.4GHzが混雑していると判断した場合に5GHzを優先的に選ぶ、またはその逆を自動で行ってくれます。
混雑状況の把握や接続切り替えを手動で行う手間がなく、Wi-Fiを快適な環境で使うことが可能です。
3.2つの周波数帯のSSIDと暗号キーを共通して一括管理できる
バンドステアリング機能を使えば、5GHzと2.4GHzに振り分けられたSSIDと暗号キーの共通化が可能です。
Wi-Fiルーターには、2つの周波数帯ごとにSSIDと暗号キーが振り分けられています。
バンドステアリング機能では周波数帯の自動切り替えができるため、わざわざ接続端末ごとにSSIDと暗号キーを設定する必要がありません。
SSIDと暗号キーを共通化することによって設定が統一されるため、子機との接続の際に新たにネットワーク接続設定を行う手間が省けます。
バンドステアリング機能の3つのデメリット|バンドステアリング機能の弊害
バンドステアリングは便利な反面、次のような機能特性による3つのデメリットがあります。
- バンドステアリング機能対応ルーターは高い
- バンドステアリング機能ではマルチSSIDが使えない
- 使用する周波帯がバンドステアリング機能に依存される
実際に導入してみたら想像と違い、快適なWi-Fiどころではなく「バンドステアリングなんていらない!」なんてことにもなりかねません。
各デメリットを順番にチェックしていきましょう。
1.バンドステアリング機能対応ルーターは高い
一般的なルーターに比べて、バンドステアリング機能対応ルーターは高額です。
実際にどれくらいの価格帯なのか、以下の価格.comの製品一覧の一例で確認してみましょう。
バンドステアリング機能機能対応ルーター
製品名 | 価格 |
---|---|
バッファロー AirStation WXR-6000AX12B/N | 37,374円(税込) |
エレコム WRC-X5400GS-B | 18,456円(税込) |
TP-LINK Archer C2300 | 15,620円(税込) |
NEC Aterm WX5400HP A-WX5400HP | 13,903円(税込) |
無線LANルーター(Wi-Fiルーター)※2022年発売機種で統一
製品名 | 価格 |
---|---|
エレコム WRC-X3000GS2-W | 9,336円(税込) |
TP-LINK Archer AX53 | 7,160円(税込) |
NEC Aterm WX1500HP PA-WX1500HP | 6,777円(税込) |
バッファロー AirStation WSR-1500AX2B-WH | 5,985円(税込) |
上記2つの一覧表からもわかる通り、通常の無線LANルーターは最新機種でも10,000円を超えない場合が多いです。
一方、バンドステアリング機能対応のルーターは、型落ち品でも10,000円以上の機種ばかりになります。
価格が安いブランドであるTP-LINKのArcher C2300は、2018年の製品にもかかわらずバンドステアリング機能搭載というだけで15,000円以上です。
バンドステアリング機能対応ルーターで最も安いNECのAterm WX5400HPでも、約14,000円かかります。
バッファローやエレコム、NECなどの人気ブランドともなると、高いものは40,000円以上するものも珍しくありません。
家庭内の対応家電や家族のWi-Fi利用環境などの状況次第で、高額なバンドステアリング機能対応ルーターを購入するほどではないように思われます。
明確なメリットが感じられなければ、「バンドステアリングはいらない」という結論にいたる方もいるのではないでしょうか?
バンドステアリング機能対応ルーターを購入する場合、比較的安価なNEC製のAtermシリーズをおすすめします。
2.バンドステアリング機能ではマルチSSIDが使えない
SSIDが共通化されるバンドステアリング機能では、ひとつのルーターに複数のSSIDを設定することができるマルチSSID機能が使えません。
マルチSSIDのメリットは次の通りです。
- SSIDを目的や利用場所ごとに固定で振り分けできる
- SSIDごとにセキュリティ・暗号化方式を振り分けることができる
SSIDを振り分けることで、使いたい周波数を用途に合わせて固定することができたり、個人情報のやりとりをする際にセキュリティ強度の高いSSIDで接続するという使い方ができます。
最新のセキュリティレベルに対応していない古い機種でWi-Fiに繋げたいときなど、マルチSSID機能があれば機種に対応しているSSIDで接続するという使い方も可能です。
バンドステアリング機能を有効にしてしまうと共通SSIDで統一されるため、周波数帯ごとにSSIDの振り分け(マルチSSID)ができなくなります。
Wi-Fi中継器を使う場合などでも、バンドステアリング機能と同じことができる「メッシュWi-Fi」でもマルチSSIDが使えなくなるので要注意です。
マルチSSID機能は前項で紹介したNECのWX5400HP、バッファローやエレコムのバンドステアリング機能対応ルーターにも搭載されているので、使いたいほうの機能をON・OFF設定から選びましょう。
バンドステアリングを高度に使いこなそうとすればデメリットが気になりだすので、ヘビーユーザーほど「バンドステアリング機能はいらない」と感じる方も多いでしょう。
3.使用する周波帯がバンドステアリング機能に依存される
バンドステアリング機能は自動で周波数を振り分けるため、使いたい電波を自分で選ぶことができません。
そのため、どちらの周波数で接続しているかは自分で確認するまでわからないというデメリットがあります。
使用する周波数帯はバンドステアリング機能におまかせするので、必ずしも自分の期待通りに電波が誘導されるとは限りません。
バッファローのWXRシリーズのルーターには、電波強度・混雑状況・接続台数から周波数の優先度を決める機能があるので、バンドステアリング機能を有効時に5GHzを優先させたいなどの設定をしておくと良いでしょう。
ちなみに、バッファローのバンドステアリング機能には「バンドステアリング」と「バンドステアリングLite」の2種類があり、バンドステアリングLiteのほうは若干デメリットが多いです。
バッファローのバンドステアリングには「EasyMesh」というメッシュWi-Fi機能が搭載されていますが、バンドステアリングLiteにはそれがありません。
一部の機能がバンドステアリングLiteにはないので、設定から有効・無効をする手間がない文字通りのライト版です。
バンドステアリングの不具合|繋がらない・切れやすいときの対処法
バンドステアリング機能を使用していて、突然Wi-Fiが切れるという現象が起こらないとは限りません。
周波数の切り替えが行われない場合やWi-Fiが切れるのは、ルーターの不具合かそもそもの回線に問題がある場合が多いです。
製品出荷時の状態でバンドステアリング機能がオフになっている可能性があるので、ルーターを手元に置いたら設定から機能が正常に働いているかを確認しましょう。
バンドステアリング機能の設定やON・OFF確認をしながら、周波数を変えるなど色々試してみてください。
前項で触れたように、バッファローのバンドステアリング機能は周波数の切り替え条件が選べます。
バンドステアリング設定はバッファローやNEC、エレコムなどのメーカーごとに異なるので、頻繁に切れるようなら製品HPのQ&Aなどを参照しましょう。
まとめ
本記事はここまで、バンドステアリングとはなにか、機能のメリットとデメリットについて解説してきました。
バンドステアリング機能は、周波数の切り替えを自動で判断してくれるので、わざわざ手動で行う必要がありません。
設定ひとつで快適なネットワークを構築することが可能なので、Wi-Fi環境を整えたい方はバンドステアリングの導入を検討してみてはいかがでしょうか?
ただし、バンドステアリングには周波数の切り分けを機能にすべておまかせしたり、一部の機能が制限されるなどのデメリットがあります。
バンドステアリングは機能は、導入する環境によって有用性が大きく変わってくるので、改めて本記事を読み返してみてください。
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