海外旅行保険はクレジットカード付帯でよい?自動付帯や利用付帯、補償内容について解説
海外旅行は楽しい反面、何がしかのトラブルに見舞われる可能性は否定できません。
ジェイアイ傷害火災保険会社の調査(「2019 年度 海外旅行保険事故データ」)によれば、海外での事故発生率は4.14%とのこと。
実に24人に1人は、海外旅行中にトラブルが起こっている計算です。
その中でも特に多いのが、海外で病気になったり怪我をしたりして現地の病院で治療を受けるケースや、手荷物の盗難や破損。
海外の病院では治療費が高額になることも多く、海外旅行保険に入っていないと、お金の負担が大きくなってしまいます。
カメラやスーツケースなどを盗まれてしまった際の、お金の被害も小さくはありません。
こういった点を踏まえ、多くの人が気になるのはクレジットカード付帯の海外旅行保険です。
普段使っているクレジットカードに海外旅行保険がついていれば、便利で助かるのは言うまでもないでしょう。
この記事では、クレジットカード付帯の海外旅行保険の特徴や注意点についてわかりやすく解説しています。
クレジットカードに付帯する海外旅行保険とは?
クレジットカードによっては、海外旅行保険がついているケースがあります。
クレジットカード付帯の海外旅行保険は、保険会社で加入する種類と同様に、海外で治療を受けた際などの補償が可能です。
ただし、そもそもの有無や、補償内容・補償条件などはクレジットカードごとに異なります。
クレジットカード付帯の海外旅行保険を使いたいときは、あらかじめ公式サイトなどでそれらを確認しておくとよいでしょう。
クレジットカード付帯の海外旅行保険に関する主な特徴
クレジットカード付帯の海外旅行保険は、一般的な保険と比べてどのような違いがあるのでしょうか。
ここでは、知っておきたい主な特徴を1つずつみていきましょう。
自動付帯と利用付帯の2種類がある
クレジットカードに付帯する海外旅行保険には、「自動付帯」タイプと「利用付帯」タイプの2種類があります。
自分のクレジットカードについている海外旅行保険がどちらのタイプかで、補償の可否が変わるので注意が必要です。
まず自動付帯とはクレジットカード所有者であれば、自動的に保険が適用されるタイプを指します。
もちろん保険に対する補償の条件を満たす必要はあるものの、そのクレジットカードを使っていなくても補償を使えるのが特徴です。
自動付帯に対して利用付帯とは、飛行機やツアー代金などをクレジットカードで支払うことで保険が適用されるタイプを指します。
逆に言うと、持っているだけでは補償を受けられないので注意しなくてはなりません。
自分のクレジットカードについている海外旅行保険が、自動付帯と利用付帯のどちらかは必ず確認しておきましょう。
保険料の支払いは不要
一般的な保険商品と違い、クレジットカード付帯の海外旅行保険は、保険料の支払いが必要ありません。
なかには年会費が無料である上に、海外旅行保険が使えるタイプのクレジットカードもあります。
保険期間は最大90日間
クレジットカードに付帯するだいたいの海外旅行保険は、保険期間が最大でも90日間です。
海外旅行で短い間だけ海外に滞在する際は問題ありませんが、滞在期間が長くなるときはクレジットカード付帯の海外旅行保険では足りません。
別の海外旅行保険への加入を、検討した方がよいでしょう。
主な補償内容
海外旅行保険についている主な補償内容は、上記イメージの通りです。
以下、それぞれの補償内容について、もう少し詳しく見ていきましょう。
死亡・後遺障害
死亡・後遺障害の補償とは、旅行中の病気やケガで被保険者が亡くなったり後遺症が残ったりした際の補償です。
まず旅行中の病気やケガで亡くなった際は、あらかじめ決められた保険が定額で支払われます。
(例:契約の保険金額が1,000万円なら保険金が1,000万円支払われる)
後遺症が残った際は、必ずしも保険金の全額が支払われるわけではありません。
後遺症の程度によって、割合が決まります。
(例:契約の保険金額が1,000万円で、後遺症の程度が低いとして10%分(100万円)の保険金が支払われる)
なお、いずれの場合でも事前に手術費などで保険金が支払われている場合は、その分が差し引かれるので注意しましょう。
傷害治療費用
傷害治療費用とは海外旅行中にケガをしたり病気になったりして、治療を受けた場合にその治療費に対する補償です。
契約の保険金額を上限に、治療にかかった実費が補償されます。
(例:契約の保険金額が100万円で、治療にかかった費用が20万円だったら20万円支払われる)
救援者費用
救援者費用とは被保険者がケガや病気で現地の病院へ入院し、家族が現地の病院までかけつけた際の費用に対する補償です。
具体的には家族が現地へ行くのにかかった往復の移動費や、ホテル宿泊費などが支払われます。
その他にも救援者費用では、海や山で遭難した際に、その捜索のためにかかった費用の補償も可能です。
賠償責任
賠償責任とは旅行中に、故意ではなく誰かにケガをさせてしまったり他人の物を壊してしまったりしたときの補償です。
現地で法律的な損害賠償を請求されたときに、その費用を補償します。
携行品損害
携行品損害とは旅行中に、被保険者の携行品(衣服・パスポート・カメラなど)が盗まれたり壊れたりした際の補償です。
修理費用や、その時点での時価などが支払われます。
なお携行品損害では、自己負担額も設定されているので注意しましょう。
たとえば自己負担額が5,000円であれば、修理費用のうち5,000円は自分で支払わないといけないわけです。
クレジットカードに付帯する海外旅行保険の例
クレジットカード付帯の海外旅行保険に関する概要をみてきました。
それでは具体的には、どのくらいの補償が受けられるものでしょうか。
ここでは海外旅行保険が付帯する人気のクレジットカードを例に、実際にどのような補償がついているかみていきましょう。
三井住友カードの場合
海外旅行保険の概要
一般・一般(NL)など | ゴールド(NL)など | プラチナカード | |
---|---|---|---|
種類 | 利用付帯 | 利用付帯 | 自動付帯 |
傷害死亡・後遺障害 | 最高2,000万円 | 最高2,000万円 | 最高1億円 |
傷害治療費用 | 50万円 | 100万円 | 500万円 |
救援者費用 | 100万円 | 150万円 | 1,000万円 |
賠償責任 | 2,000万円 | 2,500万円 | 1億円 |
携行品損害 | 15万円(免責:3,000円) | 25万円(免責:3,000円) | 100万円(免責:3,000円) |
三井住友カードは年会費が無料の一般カードでも、海外旅行保険がついています。
また旅行でトラブルが発生した際に、「緊急アシスタントサービス」が日本語で24時間365日サポートしてくれるのもメリットです。
※より詳細な保険内容は以下公式サイトで確認下さい。
楽天カード(楽天ゴールドカード/プレミアムカード)の場合
海外旅行保険の概要
楽天カード | 楽天ゴールドカード | 楽天プレミアムカード | |
---|---|---|---|
種類 | 利用付帯 | 利用付帯 | 自動付帯 |
傷害死亡・後遺障害 | 最高2,000万円 | 最高2,000万円 | 最高5,000円 |
傷害治療費用 | 200万円 | 200万円 | 300万円 |
救援者費用 | 200万円 | 200万円 | 200万円 |
賠償責任 | 3,000万円 | 3,000万円 | 3,000万円 |
携行品損害 | – | 20万円(免責:3,000円) | 50万円(免責:3,000円) |
楽天カードは年会費無料のタイプでも、傷害死亡・後遺障害2,000万円、傷害治療費用200万円など手厚い補償がついています。
ただ楽天カードであると、携行品損害がついていない点は注意が必要です。
楽天カードの保険デスクについても、日本語で24時間365日サポートしてくれます。
※より詳細な保険内容は以下公式サイトで確認下さい。
JCBカードの場合
海外旅行保険の概要
一般カード | JCBゴールドカード | JCBプラチナカード | |
---|---|---|---|
種類 | 利用付帯 | 自動付帯 | 自動付帯 |
傷害死亡・後遺障害 | 最高3,000万円 | 最高1億円 | 最高1億円 |
傷害治療費用 | 100万円 | 300万円 | 1,000万円 |
救援者費用 | 100万円 | 400万円 | 1,000万円 |
賠償責任 | 2,000万円 | 1億円 | 1億円 |
携行品損害 | 20万円(免責:3,000円) | 50万円(免責:3,000円) | 100万円(免責:3,000円) |
JCBカードの海外旅行保険では、無料の一般カードでも傷害死亡の補償が3,000万円、携行品損害が20万円と手厚い補償がうけられます。
ゴールドカードやプラチナカードでは、傷害死亡や賠償責任の補償額が1億円と非常に高額です。
※より詳細な保険内容は以下公式サイトで確認下さい。
セゾンカードの場合
海外旅行保険の概要
セゾンカード インターナショナル/SAISON CARD Digital | セゾンブルーアメックス | セゾンゴールドアメックス | |
---|---|---|---|
種類 | – | 利用付帯 | 利用付帯 |
傷害死亡・後遺障害 | – | 最高3,000万円 | 最高5,000万円 |
傷害治療費用 | – | 300万円 | 300万円 |
救援者費用 | – | 200万円 | 200万円 |
賠償責任 | – | 3,000万円 | 3,000万円 |
携行品損害 | – | 30万円(免責:3,000円) | 30万円(免責:3,000円) |
年会費無料のセゾンカードインターナショナルやSAISON CARD Digitalには、残念ながら海外旅行保険がついていません。
一方、セゾンブルーアメックスなど国際ブランドとしてアメックスがついたセゾンカードには、上記の通り海外旅行保険がついています。
※より詳細な保険内容は以下公式サイトで確認下さい。
クレジットカード付帯の海外旅行保険に関する主な注意点
クレジットカード付帯の海外旅行保険は便利な反面、使うのにあたっていくつかの注意点もあります。
以下、実際にどんな点を注意すべきかみていきましょう。
条件をみたしていないと補償を受けられない
自動付帯か利用付帯かなど、クレジットカードの海外旅行保険は条件を満たしていないと補償を受けられないので注意しましょう。
たとえば楽天カードは利用付帯タイプの海外旅行保険がついていますが、募集型企画旅行の代金を支払った場合のみ補償が受けられます。
航空券の料金を楽天カードで支払っても、補償は受けられません。
その他、補償期間に関する取扱いなどにもクレジットカードごとに細かい条件があるので注意しましょう。
家族が補償されない可能性も
クレジットカードの海外旅行保険は、補償対象となる被保険者は契約者本人です。
家族や同伴者は補償されない場合が多いので注意しましょう。
家族カードをもっている場合は、基本的にその家族も契約者本人と同じ補償を受けられます。
ただ家族カードを含めクレジットカードを作れるのは18歳以上なので、18歳未満の家族は対象外です。
また利用付帯タイプのクレジットカードの場合、海外旅行保険の対象となるのは条件を満たしたカードの所有者だけとなります。
たとえば家族で海外旅行へ行ったとして、父親のクレジットカードで旅行代金を支払うケースを考えてみましょう。
このとき、一緒に旅行へ行っている母親と子供が家族カードをもっていても、補償されるのは父親のみとなります。
旅行代金を支払っていない家族カードの所有者である、母親や子供は補償されません。
その他、家族特約がついて家族も補償されるタイプがありますが、家族特約では契約者本人に比べ補償内容がおさえられています。
その結果、補償が足りなくなる可能性も高いわけです。
JCBゴールドカードの例
JCBゴールドカード | 家族特約 | |
---|---|---|
傷害死亡・後遺障害 | 最高1億円 | 最高1,000万円 |
傷害治療費用 | 300万円 | 200万円 |
救援者費用 | 400万円 | 200万円 |
賠償責任 | 1億円 | 2,000万円 |
携行品損害 | 50万円(免責:3,000円) | 50万円(免責:3,000円) |
保険会社の海外旅行傷害保険と比較すると補償内容は少ない
クレジットカードに付帯する海外旅行保険は、保険会社が提供する海外旅行保険に比べ補償内容が少ないのは否めません。
以下、参考までにJCBカードの海外旅行保険と、損保ジャパンの「新・海外旅行保険【off!(オフ)】」の補償内容を比較してみましょう。
海外旅行保険の比較
一般カード | JCBゴールドカード | JCBプラチナカード | 新・海外旅行保険【off!(オフ)】(保険料抑えたいプラン) | 新・海外旅行保険【off!(オフ)】(補償充実させたいプラン) | |
---|---|---|---|---|---|
種類 | 利用付帯 | 自動付帯 | 自動付帯 | – | – |
傷害死亡・後遺障害 | 最高3,000万円 | 最高1億円 | 最高1億円 | 最高1,000万円 | 最高3,000万円 |
100万円 | 300万円 | 1,000万円 | 1,000万円 | 3,000万円 | |
救援者費用 | 100万円 | 400万円 | 1,000万円 | 1,000万円 | 2,000万円 |
賠償責任 | 2,000万円 | 1億円 | 1億円 | 1億円 | 1億円 |
携行品損害 | 20万円(免責:3,000円) | 50万円(免責:3,000円) | 100万円(免責:3,000円) | 30万円(免責:なし) | 50万円(免責:なし) |
ご覧のように傷害治療費用や救援者費用は、「新・海外旅行保険【off!(オフ)】」の方が補償は大分大きくなっています。
「新・海外旅行保険【off!(オフ)】」では、オーダーメイドプランでさらに補償を厚くすることも可能です。
くわえて、保険会社の海外旅行保険であれば、もちろんクレジットカード契約者以外(一緒に旅行へ行く家族など)にも補償をつけられます。
特に海外では、治療費が日本とは比較にならないぐらい高額になることも少なくありません。
行き先の国や治療内容次第では、クレジットカードの補償が全く足りないケースもありえます。
このように補償内容が異なるので、クレジットカードの補償が不安であれば保険会社の海外旅行保険も検討するとよいでしょう。
複数の海外旅行保険を必ずしも併用できるわけではない
海外旅行保険が付帯したクレジットカードを複数持っている場合、その補償を全て併用できるとは限りません。
たとえば傷害死亡・後遺障害については、複数の契約があっても保険金額が最も高いクレジットカードの分までが補償の限度となります。
例:契約者が旅行中に死亡した場合
クレジットカードAの死亡補償は1,000万円
クレジットカードBの死亡補償は2,000万円
=> 1,000万円+2,000万円=3,000万円でなく、2,000万円補償される
傷害死亡・後遺障害以外の補償についても、支払いの限度は全てあわせても実際の損害額までです。
複数の海外旅行保険があった方が安心なのは間違いありませんが、保険金がその分だけ増えるわけではないことは覚えておきましょう。
まとめ【不安であれば旅行会社の保険も検討したい】
クレジットカードのなかには、海外旅行保険がついている種類もあります。
クレジットカードの海外旅行保険では、海外旅行中に被保険者が怪我や病気で治療が必要となった際などに補償を受けることが可能です。
一方で、クレジットカードに付帯する海外旅行保険は、一般の海外旅行保険に比べ補償内容が少ないので注意しましょう。
一緒に旅行へ行く家族の補償を受けられないことも多いです。
補償を手厚くしたい場合や、家族の補償も検討したいときは、一般の海外旅行保険と併用することも検討するとよいでしょう。